投稿者名リノベーションの費用対効果を分析するには!?
「空室対策」はオーナーさんにとって最も重要な業務
賃貸住宅のオーナーさんにとって、一番大切な業務は、所有する物件の「空室対策」であることに異論を唱える方はいないと思います。
オーナーさんがとるべき「空室対策」は様々ありますが、特に重要なのは次の三つに集約されます。
まず一つ目は、「自分の物件の競争力を高めること」、二つ目は、「競争力を高めた物件を多くの入居希望者の目に触れるようにすること」、三つ目は、「一旦入居した入居者にできるだけ長く入居してもらうこと」。
特に、一つ目の「物件の競争力を高めること」は、賃貸住宅を経営するうえで、その経営が成功するか、失敗するかを決めるとても重要な要素となります。
「物件の競争力を高める」対策の中で、オーナーさんが一番やってはいけないことは、何の考えもなく、ただ単純に家賃を下げてしまうことです。
考えなしで単純に家賃を下げることは、一時的には、空室を埋めることができるので「物件の競争力が上がった」と錯覚してしまいますが、長期的な視点で考えると、じわじわと「物件の競争力を下げていること」につながってしまいます。
何の考えもなく家賃を下げることは、「家賃値下げの負のスパイラル」に陥ってしまう危険性があるからです。
「家賃値下げの負のスパイラル」とは、「空室が増える」→「家賃を下げて募集する」→「収益が悪化する」→「物件にお金をかけられず物件が陳腐化する」→「陳腐化するのでさらに空室が増える」→「さらに値下げしないと入居が決まらない」…という悪循環のことを言います。
「空室対策」を考えるオーナーさんは、家賃を下げることには、常に慎重でなければなりません。
長期的な目線で「空室対策」を考えるなら、かけるべきところには、きちんとお金をかけて、物件の価値を上げるための設備投資をしっかりと行っていくことが必要となります。
物件の競争力をあげるための設備投資(リノベーション)の一例は以下の通りです。
投資分析の考え方を活用すべき!
限られた資金の中で「空室対策」のための設備投資(リノベーション)を行うわけですので、その設備投資(リノベーション)が、投資として効率的なのかどうか、また、いくつかある設備投資の案の中で、費用対効果が高い投資はどれなのかを、検討するための指標が必要となります。
その指標がなければ、他の投資に比べて、リノベーションすることが適切なのか判断できません。
そのような時に活用していただきたいのが、不動産の投資分析の考え方です。
投資分析は、建物を新築する際や、物件を購入する際に利用するだけではなく、「空室対策」のための設備投資(リノベーション)をする際にも活用できます。
次から7つの投資指標をご紹介したいと思います。
7つの投資判断手法
不動産の投資判断をする際には、主に以下の7つの手法を用いて行います。
それぞれの手法について、具体例を挙げながら説明していきたいと思います。
例えば、年間700万円を売り上げていた賃貸住宅に対し、100万円の設備投資(リノベーション)を計画していたとします。
その資金は、全額、銀行から融資(10年返済、金利2%)を受けたとします。
その設備投資の結果、賃料が月額15,000円(年間180,000円)上げることができそうだ…このようなケースを想定して投資分析をしてみたいと思います。
- 投資回収年数(ペイバック)
投資額が何年で回収できるかという指標をいいます。
100万円のコストをかけて、年間18万円の収入増ですので、100万円÷18万円=5.55年ということになります。
6年目以降はすべて儲けとなります。
➁投資利回り
100万円の投資をして、18万円の収益があがるということは、18万円÷100万円=18%の利回りとなります。
どんなに優秀な物件であってもなかなか18%の利回りを出せる案件はないと思います。
そう考えると新規に投資するよりは、既存の物件を差別化し、家賃をあげていく努力をしていく方が、より効率的な投資であることがわかります。
③キャッシュフロー
100万円を金利2%、10年返済で借りた際の返済額は月額9,201円(年間約11万円)となります。
収入の増加分18万円-返済額11万円=キャッシュフロー7万円となり、今回のリノベーションを実行することで、手持ち金を一銭も出さずに、キャッシュフローを年間7万円ほどふやすことができます。
④DCR(負債支払安全率)
家賃増の18万円が返済額11万円の何倍あるかを図る指標です。
返済額に対し収入がどの程度余裕があるかを確認できます。
一般的な不動産投資において、金融機関は1.3程度あれば安全性が高いと判断します。
リノベーションの場合は返済期間も短くなるので、1.5程度あれば理想的です。
今回の例でいうと、18万円÷11万円=1.63となり、投資的には問題ない数字であるといえます。
⑤10年平均利回り
①~④までは単年度の投資効果を図る指標でしたが、10年の長期スパンでどの程度の利回りがあるかを知ることができます。
⑥IRVによる価値増加
家賃が上がったことによって、物件の市場価値がどの程度上がったかを計算するものです。
賃貸住宅の市場の期待利回りが10%であると仮定すると、今回の投資によって、年間18万円の収入増ですので、18万円÷10%(期待利回り)=180万円の市場価値があがったことを意味します。
それに対し、投資額は100万円ですので、投資したことによって、その物件は80万円価値を増したという計算になります。
⑦DCF法による評価
DCFとは、ディスカウンテッド・キャッシュ・フローの略で、賃貸不動産から将来得られる収益を、リスクなどを勘案した割引率によって現在価値に割り引いて評価する手法です。
売却を考える際に、設備投資(リノベーション)を実施して、物件の家賃を上げることにより、何もしない場合と比べ、現在(または将来的に)、売却金額をどの程度上げることができるかを確認することができます。
最後に
投資分析で大切なことは、何もしなかった場合の家賃の下落についても、投資分析の数字に入れ込んで、検討することです。
今回は説明が複雑になることを避けるために、家賃が上がることを前提に投資分析の計算をしてみましたが、現実としては、家賃の下落を防ぐためにリノベーションを行うことも多いと思います。
その際は、リノベーションを実施しなかった場合に被る収入減に対して、どの程度の効果が見込めるかという判断材料としても、今回の投資手法を活用してみるとよいと思います。
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